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グリーン鉄への移行を疑問視 CDU党首発言、与党・労組反発

ドイツの次期首相の筆頭候補と目される、中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、13日の党関連組織の集会で、水素を用いる鉄鋼生産への転換に懐疑的な見方を示した。「私は個人的に、水素を使う製鉄所への急速な移行が成功するとは思わない。水素はどこから来るのか。 私たちには水素がない」と述べ、現実を直視するよう求めた。こうした発言に、「グリーン鉄」を推進する与党や労働組合から反発の声が上がっている。

メルツ氏は集会で、水素を使用すると「従来の生産方法と比較し、鉄鋼1トン当たりの価格は少なくとも300ユーロ高くなる。その金はどこから来るのか」と語り、移行の実現可能性に疑問を呈した。

これに対し、ドイツ最大の労働組合である金属産業労組IGメタルは声明で、「グリーン鉄への移行を信じないということは、ドイツの鉄鋼産業の終了を促進することになり、その影響は業界をはるかに超えて致命的なものになる」と警告した。さらに、欧州で進む脱炭素の流れに対応するため、鉄鋼産業のグリーン化を進めなければ、「何万人もの雇用を失い、中国への原材料の依存度が危険な水準にまで高まることになる」と危機感を示した。

ハーベック副首相兼経済・気候保護相(緑の党)もメルツ氏の発言について、「ドイツの鉄鋼生産が終わりに向かっているとしか解釈できない。鉄鋼業界の全従業員に対する侮辱だ」と批判した。「米国や中国など、主要国はすべて鉄鋼の脱炭素化に着手している」とも述べ、従来の方法で生産された鉄鋼の市場は2030年代にはなくなるとの見通しを強調した。

鉄鋼業界は国内で最も二酸化炭素(CO2)を排出する産業で、ドイツ政府は、製造プロセスに再生可能エネルギー由来の水素を用いることでカーボンニュートラルを実現したグリーン鉄の生産を推進している。連邦政府とノルトライン・ウェストファーレン州政府は、鉄鋼・エンジニアリング大手ティッセンクルップのグリーン鉄プロジェクトに数十億ユーロを拠出している。[環境ニュース]


関連国・地域: ドイツ
関連業種: 鉄鋼・金属マクロ・統計・その他経済政治

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