ドイツの次期首相の筆頭候補と目される、中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は13日、党下部組織の集会で、石炭・ガス火力発電からの早期脱却よりも、産業保護を優先させるべきだとの考えを示した。ショルツ首相(社会民主党<SPD>)率いる現政権は、2030年の石炭火力廃止を目標としているが、メルツ氏は自党が政権を奪還した場合、軌道修正を図る姿勢を鮮明にした。
メルツ氏は演説で、代替エネルギーがないまま化石燃料による発電を停止すれば、「ドイツの産業拠点としての立場を危険にさらす」と主張した。一方で、化石燃料による発電を現状のまま続けるわけではなく、廃止に向けた取り組みを進める方針も示した。
ショルツ政権は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機のさなかだった、23年春に原子力発電所の稼働を終了した。メルツ氏はこれを「重大な戦略的ミスだった」と批判し、「イデオロギーが先行し、客観的な判断では全くなかった」と語気を強めた。
CDUは原発について、2月の連邦議会(下院)選挙に向けた公約で、「原子力の選択肢を保持し、停止した原発の再稼働を検討する」と明記している。しかしメルツ氏は「再稼働の可能性は週を追うごとに低下している」と述べ、現実的ではないとの考えを示した。[環境ニュース]
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