英国のシンクタンク、レゾリューション財団は、2025年も生活水準の大幅な改善は期待できないとの見通しを示した。増税により家計の可処分所得の低下が見込まれるため。ただ、公共サービスへの支出拡大により医療や教育が改善すれば、低所得層の生活水準は実質的にやや上向くと予想している。
政府は25/26年度年の予算で、総額240億ポンドの増税を予定する一方、国民医療制度(NHS)など公共サービスへの支出と経済成長促進への投資を増やすとしている。同財団は、増税により金銭面での生活水準は低下し、特に低所得層が大きな打撃を受けると予想。ただNHSや公共教育などが改善すれば、こうした公共サービスへの依存度が高い低所得層は生活の向上を実感する可能性もあるとしている。
同財団はこれを測る指標として、可処分所得に教育や医療といった公共サービスのメリットを加算した「実質生活水準」を算出。その結果、所得が下位50%の層では、25/26年度の実質生活水準が1年前から0.2%改善する一方、上位50%では0.4%低下する見通しであることがわかった。これを金額に換算すると、下位50%では前年度比28ポンドのプラス、上位50%では140ポンドのマイナスとなるという。
スターマー首相は、次回総選挙までの優先政策の1つとして生活水準の向上に取り組んでいる。国民1人当たりの実質可処分所得と国内総生産(GDP)を引き上げ、先進7カ国(G7)で最高の持続的成長を達成することを目指している。
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