英商工会議所(BCC)は22日、英政府に対し、欧州連合(EU)との貿易障壁を取り払う包括的な協定を結ぶよう求める声明を発表した。2020年にEUを離脱して以降、中小企業を中心にEUでの通関手続きの複雑化やコスト上昇に苦しむ声が上がっており、EUとの関係を「リセットする」としてきたスターマー首相に行動を促した格好だ。
BCCの会員企業1,111社を対象にした調査によると、46%が英国人従業員がEUで働きやすくなるよう求める一方、45%は通関手続きと書類の煩雑さを最大の貿易障壁として挙げた。こうした中、政府に対し、中小企業の食品輸出の複雑さをなくしたり、若者の学術やビジネスでの交流活性化など改善すべき5点を列挙した。
ハビランド事務局長は「EU離脱で生じた構造的な貿易問題が緩和されていない。それどころか、EUと英国の規則や規制が異なる方向に向かう中、多くの点で悪化している」と指摘。「EUとの貿易関係を改善することで、多くの企業が直面する暗い見通しを変えるのに必要な成長をもたらすだろう」と述べた。
スターマー政権は、EUとの貿易や安全保障、国境政策などでの新たな協定締結に向けた交渉に臨んでいる。
この中でEU側は、18~30歳の若者の移動制限の緩和を提案しているが、スターマー氏は移動の自由の復活と見なされる政策には慎重姿勢を貫く。英国の漁業水域へのアクセスも、議題に上る可能性がある。一方、英国側は安全保障や不法移民対策だけでなく、獣医協定や職業資格の相互承認、英国のミュージシャンがEU内でツアーをしやすくなるような協定の締結を目指しているとされる。[EU規制]
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