英政府は13日、2030年までにクリーン電力の比率を95%以上に引き上げる目標に向けた行動計画を発表した。プロジェクトの承認を迅速化するため、反対派の住民などによる司法審査の請求権を制限する案や、大規模な陸上風力発電プロジェクトを優先的に承認する案を打ち出している。これにより、目標達成に向け必要となる400億ポンドの投資を促す狙いだが、地域住民からの反発も見込まれている。
政府は、インフラプロジェクトの承認に関する法改正を行い、1つのプロジェクトに対する司法審査を複数回、請求することを禁止する方針。司法審査は、再生可能エネルギー発電プロジェクトなどの遅延の大きな要因となっており、中には反対派の住民が同じプロジェクトの司法審査を繰り返し請求するケースもあるという。
また、設置容量100メガワット以上の陸上風力発電プロジェクトを、イングランドの「国家重要インフラプロジェクト(NSIP)」に再指定することにより、優先的に建設承認を行うとしている。このほか、クリーン電力インフラの建設地の住民が直接的な恩恵を受ける制度も取り入れる。
行動計画ではほかに、クリーン電力プロジェクトを含む重要インフラプロジェクトの電力網との接続を優先する方針も打ち出された。英国では電力網との接続待ちが設置容量にして739ギガワットに達している。現在は申請順に接続しているが、今後はクリーン電力や住宅開発地、ギガファクトリーなど、政府の30年までの目標達成に役立つプロジェクトを優先するとしている。
この行動計画は、国営の電力系統管理会社ナショナル・エネルギー・システム・オペレーター(NESO)が11月に行った提言に基づき策定された。NESOは、30年までに洋上風力発電の設置容量を現在の約15ギガワットから43~50ギガワットに引き上げるとともに、陸上風力発電と太陽光発電の容量をそれぞれ約27~29ギガワット、45~47ギガワットに拡大するよう提言し、これに向けては約400億ポンドの投資が必要となるとしている。[環境ニュース]
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