英国のスターマー首相は8日、就任後初となる中東外遊を開始した。アラブ首長国連邦(UAE)とサウジアラビアを訪問し、経済成長が著しい両国との経済・外交関係を強化する狙い。5日に発表した経済政策「プラン・フォー・チェンジ」を実現するため、投資促進に力を入れる。
スターマー氏は8日夜(現地時間)にUAEに到着。9日にアブダビ首長国でムハンマド大統領と会談した。国営の首長国通信(WAM)によると、両首脳は2国間関係の強化に向けて互いに努力することを確認したほか、緊迫化する中東情勢についても協議した。スターマー氏は、「質の高い成長の促進」を目指す上で同国から投資を呼び込む重要性を強調していた。UAEの対英投資額は230億ポンド規模と見積もられている。
スターマー氏は9日中にサウジに移動し、ムハンマド皇太子と会談した。英政府は会談前の時点で、両国が複数のグリーンエネルギー事業で提携し、4,000人以上の雇用が創出されると発表している。
中でも目玉とされるのはナノ炭素材料のグラフェンに関する契約だ。イングランド北部マンチェスターに拠点を置くグラフェン・イノベーション・マンチェスター(GMI)と、サウジ北西部の新経済特区「NEOM」が共同で、サウジで世界初となるグラフェン強化炭素繊維の商業生産を開始する。同プロジェクトに関連し、マンチェスターの研究拠点に2億5,000万ポンドが投資され、1,000人超の雇用創出が見込まれている。
両国はこのほか、グリーン水素の製造や輸送、新たな国際研究機関の設立などに向けても協力する計画だ。
スターマー氏は9日夜のうちにキプロスに移り、10日に同国のフリストドゥリディス大統領と会談する。[労務][環境ニュース]
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