シンクタンクのレゾリューション財団は20日、英政府統計局(ONS)が2019年以降の労働市場調査で、93万人分の労働力を過小評価している可能性があると発表した。実際の就労率はより良好で、公式統計が政策立案者に対して過度に悲観的な見通しを与えてきたとしている。
財団によると、ONSの統計ではコロナ禍以降に就労率が低下し、求職活動を辞めたと答える人の割合が増加したとされる。一方、英歳入関税庁(HMRC)の税務記録や人口記録などに基づいた財団の試算では、就労率は23年にコロナ禍前のピーク時と同水準まで上昇し、24年は19年とほぼ同水準に低下すると予想している。
最新の公式統計では16~64歳の就業率が75%とされているが、実際には約76%に上ると指摘。その一方、16歳以上の非就労率は19年の36%からほぼ変わらないとみている。
統計のずれの背景には、コロナ禍以降に調査への回答率の急落があるとみられる。回答率は19年に39%だったが、23年は13%に低下。実際、財団の試算は20年までONS統計と同様の推移をたどったという。
ONSの統計を巡っては、すでに中銀のイングランド銀行が問題点を指摘し、是正を求めている。財団は「就労率が以前考えられていたより高いとしても、政府は雇用増加を目指す上で大きな課題に直面している」と指摘。「ただ、英国に信頼できる雇用統計がなければ良い政策を策定することはさらに困難になる」とコメントした。
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