英国のスターマー首相は12日、アゼルバイジャンの首都バクーで行われている国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で、新たな気候変動目標を明らかにした。2035年までに温室効果ガスを1990年比で81%削減する計画で、現行の78%から目標値を引き上げた。
新たな目標は、英政府の独立諮問機関である気候変動委員会(CCC)の勧告に沿ったもの。スターマー氏は、地球温暖化が深刻化すれば国内だけで数十万人が自然災害のリスクにさらされるほか、経済や国家の安定が揺らぐ恐れがあると指摘。一方で、気候変動対策に注力すれば、安全保障の強化や投資の誘致、雇用創出など多くのプラス効果が見込めると述べた。
英政府の具体的な取り組みとしては、北海での石油・ガス開発ライセンスの発行停止や石炭火力発電からの脱却、グリーン水素を含む成長産業への投資基金「ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)」の創設などに言及している。
ただ、新たな目標は英国内で排出される温室効果ガスのみが対象で、航空機や船舶の国際路線の排出分は含まれていない。従来目標はこれらを含んでいたことから、目標の厳密な比較はできないとの指摘も出ている。[環境ニュース]
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