米国で5日に投票が行われた大統領選挙で共和党のトランプ前大統領の当選が確実となったことを受け、欧州各国の首脳は6日、相次いで同氏に祝辞を送った。トランプ政権下で貿易やロシアのウクライナ侵攻などを巡る欧米間の溝が深まる恐れもある中、いずれも自国と米国の関係の重要性を強調し、トランプ氏に協力を促している。
英国のスターマー首相は「歴史的勝利」を祝福。「英米は最も緊密な同盟国」とし、「成長や安全保障、技術革新、テクノロジーに至るまで、両国の特別な関係は今後も大西洋を越えて発展し続ける」との考えを示した。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は、「トランプ氏と再び協力することを楽しみにしている」とした上で、「大西洋両岸の何百万人もの雇用と多額の貿易・投資が欧州連合(EU)と米国の経済関係の動向と安定にかかっている」とくぎを刺した。背景には、トランプ氏が外国製品に追加関税を課す方針を示していることがある。
ドイツのショルツ首相もトランプ氏の勝利を祝福し、「ドイツと米国は敵対するよりも協力した方が多くを成し遂げることができる」と呼びかけた。ただ、ロシアに対する安全保障面で「EUは一段と団結する必要がある」とし、フランスなどEU諸国と協議し、連携を深める方針を示した。トランプ氏は米国内を優先し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援には後ろ向きの姿勢を示している。
フランスのマクロン大統領は、「平和と繁栄」に向け、「今後4年にわたりトランプ氏と協力する準備がある」とコメント。イタリアのメローニ首相は、「イタリアと米国の戦略的な絆は今後、一段と強化される」としている。スペインのサンチェス首相も、「スペインと米国の戦略的関係と、強力な太平洋横断的パートナーシップに取り組む」との姿勢を示した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、トランプ氏に祝辞を送った上で、同氏と9月に会談した際に、ロシアに対する勝利計画や同国の侵攻を阻止する方法について協議したと強調。「ウクライナは、米国の超党派的な支援継続を頼みとしている」とし、トランプ氏と再び会談する意向を示した。
一方、ロシア寄りでトランプ氏との親交も深いハンガリーのオルバン首相は、トランプ政権の復活は「米国政治史上、最大のカムバックだ」と絶賛し、「世界が必要としていた」と述べた。オルバン氏は、トランプ氏やロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢を協議するなど、独断的な外交で他のEU加盟国から批判を受けている。
北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、「トランプ氏に祝辞を送った」とした上で、「同氏の指導力は強い同盟の維持に不可欠」と強調。トランプ氏はかねて他のNATO加盟国の国防支出が少ないと批判しており、選挙戦では、資金の拠出が不十分な加盟国を「ロシアは好きなように攻撃すればいい」と発言していた。
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