イングランドの全自治体が予測する財政赤字が2026/27年度に総額93億ポンドに上ることが、ケンブリッジ大学ベネット公共政策研究所の調査で明らかになった。今年度の推定額の4倍近くに当たり、地方自治体の財政負担が増していることが浮き彫りになっている。
25日に公表された調査結果によると、イングランドの317自治体のうち、新年度末までに黒字化を見込むのはわずか14自治体にとどまった。残る303自治体は、今後2年間で増税や行政サービスの削減を計画。特に社会福祉費の増大やホームレスへの対応が財政の圧迫を招き、22/23年度の地方自治体の実質支出能力は、10/11年度の水準を42%下回っている。
保守党政権による10年以上に及ぶ緊縮財政やコロナ禍が背景にあるといい、ベネット研究所研究員のジャック・ショー氏は「地方自治体は前例のない状況にあり、その多くがもはや法的責任を果たすための最低限のサービスしか提供できていない」と述べた。
政府が30日にも発表する新年度予算案では、400億ポンドの資金不足に対処するための大規模な増税が予想されている。一方、フィナンシャル・タイムズによると、地方自治体協議会は政府に対し、地方自治体への支援を求めている。
報告書の共著者であるニューカッスル大学都市・地域開発研究センターのアンディ・パイク教授は、「イングランドの地方自治体が直面している状況に大きな責任を負っているのは保守党だが、いま課題に対処しなければならないのは労働党だ。根本的な改革ができなければ、地元住民と納税者にとって重要なサービスを守ることはできないだろう」と警鐘を鳴らしている。
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