英政府は21日、新たな不法移民対策を公表した。密航業者の摘発に向け国家犯罪対策庁(NCA)の捜査官を最大100人増員するほか、すでに国内にいる不法移民の摘発と出身国への送還を進める。また、不法就労の取り締まりを強化し、違法行為のあった企業には厳しい罰則を科すとしている。
密航業者の摘発では、英仏海峡を小型ボートで渡る不法移民の削減を重視する。政府はすでに、欧州刑事警察機構(ユーロポール)に駐在するNCA捜査官を50%増やし、欧州側での密航業者の摘発に向けた取り組みを拡大しており、これに追加での人員増となる。
国内の不法移民の摘発については、向こう6カ月の本国への送還件数を過去5年で最高水準に引き上げることを目指す。就労資格を持たない移民の雇用も厳しく取り締まり、雇用者には罰金や事業停止命令などの措置を取るほか、起訴する可能性もあるとしている。また、不法移民の収容施設の収容能力も拡大する。
ロイター通信によると、英仏海峡経由で英国に到着した不法移民の数は、労働党新政権が発足した7月5日以降だけで5,700人を超えている。
スターマー首相は就任直後に、前保守党政権が進めていた不法移民のルワンダ移送計画を撤廃。一方で、不法移民や密航業者の摘発および各国との連携を強化する方針を打ち出していた。ただ、国内ではその後、北西部で起きた女児3人の殺害事件に端を発する反移民のデモや暴動が相次ぎ、世論調査では不法移民問題が国民の最大の懸念事項となっている。
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