ドイツ政府は、7月に閣議決定した2025年度予算案を修正し、財政赤字の見込み額を170億ユーロから120億ユーロに縮小すると発表した。「債務ブレーキ」と呼ばれる借入額を対国内総生産(GDP)比で0.35%に抑える憲法上の規定を順守する狙いで、予算成立までにさらに引き下げる方針を示している。
今回の修正では、ドイツ鉄道(DB)のインフラ部門への補助金を取りやめる代わりに、45億ユーロの資本注入と30億ユーロの融資を行う。資本注入や融資は、債務ブレーキの対象となる借り入れにはならない。このほかでは、欧州連合(EU)のエネルギー危機対策基金からの税収減の見込み額を2億ユーロ引き下げる。また、エネルギー危機時の補助金に関連するエネルギー大手ユニパー(Uniper)からの支払額は3億ユーロ増えるとしている。
政府は近く予算案を議会に提出する。議会では9月半ばに予算を巡る議論が開始され、11月14日の予算委員会による最終審査を経て、年内の成立を見込む。
リントナー財務相は財源不足を170億ユーロから90億ユーロに減らす意向だったが、妥協した格好となる。政府は今後も予算案の見直しを続ける計画で、同氏は11月までに財政赤字の見通しをさらに縮小できるとの見方を示している。
■ウクライナに新規支援せず
政府は財政赤字縮小に向けた支出削減の一環で、ウクライナへの新規の支援は財源が確保できない限り行わない方針のようだ。リントナー氏から外務省と国防省への書簡を元に、フランクフルター・アルゲマイネが17日伝えた。
予算案にはすでに発表した40億ユーロの支援は盛り込まれている。ただ、新たな支援については、凍結されているロシア資産の利子収入などにより資金が確保できた場合にのみ実施するとしている。
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