英国の議会が17日開会し、チャールズ国王が労働党新政権の作成した施政方針演説の原稿を読み上げた。新政権は具体的な目標の達成を最優先して政権運営を進めていく方針で、財政規律の厳格化や成長産業への投資、クリーンエネルギーの促進、鉄道や水道といった公共サービスの向上、住宅建設の承認手続きの簡素化など、40法案を打ち出している。
国王は演説の冒頭で、新政権は「安全、公正、機会均等の原則を指針に政策を策定していく」と述べた。経済成長に向けては、労働者の権利向上や年金制度改革、イングランドでの地方分権の促進、国境警備と不法移民対策の強化、人材育成機関の設立などが盛り込まれている。また、スナク前政権が導入したたばこ販売を段階的に禁止する措置は継続する。
注目されている成長産業への投資基金「ナショナル・ウェルス・ファンド(NWF)」には、73億ポンドの資金を振り向ける。また、既存の英国インフラ銀行(UKIB)や、中小企業への融資を支援する国営のブリティッシュ・ビジネス・バンク(BBB)と連携し、優先事業への融資を進める方針を再確認した。
一方、クリーンエネルギーを手がける新たな国営企業グレート・ブリティッシュ・エナジーには、向こう5年間で83億ポンドを投じる。本社はスコットランドに置き、太陽光発電や風力発電で民間企業と協業する。
財政規律の厳格化では、大規模な財政支出や税制改革を実施する場合、予算責任庁(OBR)による評価を義務付ける。また、新たな監査当局を立ち上げ企業統治を徹底させる法案などを明らかにした。
人工知能(AI)を巡っては、国王は「最も強力なAIの開発において不可欠となる適切な法律の策定を進めている」と説明。ただ、事前に予想されていた具体的な規制法案の発表は見送られた。
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