ロンドン都市圏への海外直接投資(FDI)件数は2023年に359件となり、前年から20%増加した。英国の大手会計事務所アーンスト&ヤング(EY)が11日公表した調査で明らかになった。ロンドンはパリ首都圏の300件を抜いて、FDI件数で欧州首位に躍り出ている。
英国ではこのほか、スコットランドとイングランド中部ウエストミッドランズで投資が進み、欧州全体ではそれぞれ6位と7位につけた。スコットランドは洋上風力発電など再生可能エネルギー関連が好調で、FDI件数は142件と14%増加。ウエストミッドランズは72%増の127件だった。
ただ、その他の地域は振るわず、ウェールズは52%減の15件だったほか、北アイルランドは35%、イーストミッドランズは31%それぞれ落ち込んでいる。
この結果、FDI件数は英国全体では6%増の985件にとどまった。
英国への投資を産業別に見ると、デジタル産業が255件と好調で、金融サービスも100件を超える。ビジネスサービスと公共サービスは、いずれも92件だった。一方で、研究開発(R&D)プロジェクトへのFDIは44%落ち込み、16年以降で最低を記録したほか、英国への本社設置も18年以降で最低水準となっている。
EYの英国事業でチーフエコノミストを務めるピーター・アーノルド氏は「昨年のFDIの伸びはデジタル投資に支えられた」と説明し、再生エネ投資も好調だったとの認識を示した。その上で、政府に送電インフラなどのさらなる整備を促した。R&Dをはじめとする、将来的な成長に重要な投資が伸び悩んでいることにも警鐘を鳴らしている。
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