ドイツの連立与党3党は5日、2025年度予算案で合意した。新たな借り入れを制限する「債務ブレーキ」を順守する一方、包括的な経済成長促進策を実施する方針で、過去最高となる総額570億ユーロの投資を行う。また、国防費を対国内総生産(GDP)比2%に引き上げ、ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援を継続する。
ロイター通信などによると、予算案の規模は4,810億ユーロで、純借入額は440億ユーロに上る。
来年度予算案には、49項目から成る経済成長促進策が盛り込まれた。これによりGDPを260億ユーロ押し上げ、成長率を0.5ポイント引き上げることを目指す。この中には、高技能労働者の不足解消に向けた定年後の就業促進策や、移民の就労を促進するための規制改革、公共インフラへの投資、企業の税控除の拡大や法人減税、各種手続きの簡素化などが含まれる。このほか、エネルギー価格高騰の打撃を緩和する措置を2年延長する。
予算案を巡っては、ショルツ首相の社会民主党(SDP)と緑の党が投資拡大を優先するよう主張する一方、自由民主党(FDP)のリントナー財務相は、債務ブレーキの順守を主張。数カ月にわたり議論が続いていた。
ショルツ首相は「世界的な経済変革や社会変動に直面する中、ドイツには経済成長と健全な財政が必要」と説明。「ドイツを含む多くの欧州諸国で、変化がもたらす不安感が右派のポピュリストや極右の台頭をもたらしている」と述べた。一方、リントナー氏は、支出の節減には全力を尽くしたが「緊縮財政を進めるわけではない」と強調している。
なお、政府は今年度の補正予算案でも合意した。借り入れを110億ユーロ拡大し、社会支出や再生可能エネルギーの推進に充てる。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。