欧州連合(EU)域内の求職者の間で、英国離れが進んでいる。ブレグジットを機に、英国での仕事を求めるEU域内出身者が減る一方、アジアやアフリカからの求職者が増えているという。求人検索サービス大手インディードの統計を元に、ブルームバーグが26日伝えた。
英国は2016年6月の国民投票でEU離脱を決めた。この統計によると、同年に英国での求人を検索した人のうち、最も多かったのは米国の在住者で、これにアイルランド、フランス、スペインが続いた。上位10カ国のうち、首位の米国と5位のインドを除く8カ国は、すべてEU加盟国だった。
一方、今年はインドが首位に立ち、これに米国、パキスタン、オーストラリアが続いている。ナイジェリアやアラブ首長国連邦(UAE)、南アフリカもトップテンに顔を並べ、上位10カ国のうちEU加盟国は5位のスペインと、8位のフランス、10位のドイツの3カ国に減っている。
インディード調査部門のジャック・ケネディ氏は、「いま英国に働きに来る人の大半は、英連邦(コモンウェルス)諸国の出身者で、特に医療部門ではアフリカ出身者が多い」と話す。
この背景には、ブレグジットに伴いEU域内との移動の自由がなくなったことに加え、英国が就労ビザ(査証)発給要件を厳格化していることがある。英企業がEU加盟国から安価な労働力を確保するのが難しくなった一方で、加盟国以外の国の出身者に対してはいくらか門戸を広げる結果となった。英政府統計局(ONS)によると、移民流入数はEU離脱後むしろ大幅に増加しており、EU出身者が減った分、アジアやアフリカからの移民が増えていることが伺える。[労務]
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