与党・保守党を率いるスナク首相と最大野党・労働党のスターマー党首は4日、民放大手ITVの主催によるテレビ討論を行った。両氏は経済政策や不法移民対策、国民医療制度(NHS)の待ち時間解消に向けた措置などについて、舌戦を繰り広げた。
スナク氏は、労働党が掲げる公約を実現するには向こう4年間で385億ポンドが必要で、これを補うには1世帯当たり2,000ポンドの増税が避けられないと主張。スターマー氏はこれに対し、スナク氏の示した増税額の予想は「完全な偽り」と一蹴した上で、英経済の悪化の一因はトラス前首相にあると切り返した。
移民対策を巡っては、スナク氏は不法移民のルワンダ移送を実現するためには、欧州人権条約からの脱退も辞さない考えを表明。一方、スターマー氏は英国が国際的な協定から離脱することには強く反対すると強調し、移民流入の抑制は密入国業者の取り締まり強化など国際法に則った手法で対応していくと述べた。
NHS問題では、スターマー氏は、診察や治療待ちとなっている患者の数はスナク氏が首相に就任した時点の720万人から750万人に増加していると批判。若手医師のストライキについては、和解に向けて交渉を続けていく方針を示した。
英国のインターネット調査会社ユーガブ(YouGov)が討論後に行った世論調査では、今回の討論に勝利したのはどちらかとの質問に対し、スナク首相との回答は51%、スターマー氏は49%だった。討論内容では、税金と移民対策ではスナク氏に軍配が上がった一方、インフレ対策、NHSや教育などの公共サービス、気候変動対策ではスターマー氏がリードしている。
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