英国企業のトップや創業者ら121人が28日、タイムズ紙に宛てた共同書簡で最大野党・労働党への支持を表明した。保守党政権の「政治的安定と一貫した経済戦略の欠如が英国の成長を妨げている」と主張し、英国には変化が必要だとしている。労働党は7月4日に行われる総選挙に向け、財界からの支持獲得に努めており、これが奏功した形だ。
121人の署名者には、冷凍食品販売アイスランドの創業者マルコム・ウォーカー氏など、これまで保守党支持者として知られていた人物の顔も並ぶ。このほか、ロンドン・ヒースロー空港のジョン・ホランドケイ前最高経営責任者(CEO)や、インターネット上の百科事典「ウィキペディア」の創業者ジミー・ウェールズ氏、スポーツ用品販売大手JDスポーツ・ファッションのアンドリュー・ヒギンソン会長などが支持を表明している。
労働党のリーブス影の財務相はこの日、英国企業の指導者らを前に選挙演説を行い、「史上最も経済成長志向が強く、企業寄りの財務相を目指す」と強調。労働党はスターマー党首の下で変革を遂げたとし、「政治的中道路線を取り戻し、企業の支持を回復した労働党なら、英国に投資と成長を取り戻すことができる」との考えを示した。
■保守党は年金生活者にアピール
与党・保守党はこの日、年金生活者を対象とした減税策を公約として打ち出した。年金受給者の所得税控除額を引き上げることにより、向こう5年で総額24億ポンドの課税を回避する方針。保守党の支持率が比較的高い高齢者層にアピールする。
政府は28年4月まで、所得税控除額を1万2,570ポンドに据え置くことを決めているが、年金支給額をインフレ率、賃金上昇率、2.5%の三つのうち最も高い数値に合わせて引き上げる「トリプルロック」は維持する方針。このため、27年4月には基礎年金受給額が所得税控除額を上回り、課税対象となる恐れがあった。今回の措置はこれを回避するものだが、労働党は「財源が確保されていない」と批判している。
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