英国で7月4日の下院選挙実施が決まったことを受け、与党・保守党を率いるスナク首相と最大野党・労働党のスターマー党首は23日、選挙戦に乗り出した。スナク氏は、自らの経済政策の奏功により、国内経済は安定性を取り戻したとアピール。これに対しスターマー氏は、「14年にわたる保守党政権は混乱と衰退をもたらした」と批判し、変化の必要性を訴えた。
スナク氏はこの日、遊説先のイングランド中部ダービーシャー州で公共放送BBCのインタビューに応じ、保守党政権は経済の安定を回復させたと強調。「今こそ、この進歩を土台に経済を築くべき」とし、続投に意欲を示した。もう一つの目玉政策である移民対策を巡っては、不法移民のルワンダ移送計画の実行は選挙後になると認めた上で、「自身が首相に再選されれば、計画を実行できる」と訴えた。
一方、スターマー氏はイングランド南部ケント州で選挙演説を行い、保守党政権が行ってきたことは「許されないもの」と批判した。同党が続投なら「何も変わらない」が、「有権者にはこの混乱に終止符を打ち、英国復興へのページをめくる力がある」と強調。「この国を変え、労働者のための国に戻すチャンスが欲しい」とアピールした。移民のルワンダ移送計画については、破棄する方針を示している。
保守党は度重なるスキャンダルや物価高騰、公共サービスの悪化を受け、支持率が落ち込み、最近の世論調査では労働党を約30ポイント下回っている。それにもかかわらずスナク氏が早々の解散総選挙に踏み切った背景には、英国経済が第1四半期(1~3月)にリセッション(景気後退)を脱し、4月のインフレ率が2.3%と、中銀目標の2%近くまで減速したことがある。ただ、物価が過去3年で20%超上昇する中、国民が経済好転を実感するには至っていない。
保守党は、リフォームUK(旧ブレグジット党)にも支持者を奪われており、リフォームUKいまや支持率で2大政党に次ぐ3位につける。ただ、同党のファラージ元党首はこの日、今回の選挙には出馬しないと表明。知名度の高い同氏の不出馬は、保守党にとって朗報となる。
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