英国で4月30日から、欧州連合(EU)産の生鮮食品に対する厳格な通関検査の対象が拡大された。これに伴う新たな手数料の徴収も始まり、企業の負担増加と食品価格の上昇につながる恐れが指摘されている。
英国ではEU離脱により、EUから輸入する生鮮食品には衛生・検疫証明書の提出と検疫所での検査が必要になった。政府は輸入業者の要望で、これまで複数回にわたって実施を延期してきたが、1月31日に一部品目への衛生・検疫証明書の提出が義務化されており、今回、さらに検疫所での検査や手数料を導入する形だ。
新たな手数料「コモン・ユーザー・チャージ(CUC)」は、肉や魚、乳製品など動物由来の製品と野菜および果物が対象となる。食品衛生上で中程度または高リスクに分類される食品は1品目当たり29ポンド、低リスクに分類される食品は1品目当たり10ポンドを徴収する。また、複数品目をまとめて梱包した場合、貨物1個当たり145ポンドの上限が適用される。
政府は、厳格な通関検査を実施することで食品の衛生管理を強化できると説明。企業の負担については、動物や植物由来の感染症の流行といったリスクで生じる被害に比べれば「取るに足らない」と述べている。これに伴う食品価格の上昇についても、今後3年間で0.2%程度にとどまるとの見方を示した。
ただ、英国で生花の卸売販売を手がけるトム・ブラウン・ホールセールは公共放送BBCとのインタビューで、新たな手数料の負担額は年間20万~22万5,000ポンドに上り、顧客に転化せざるを得ないと説明。また、輸入する生花は仕入れ元のオランダでも品質検査を受けていると指摘する。
EU産の生鮮食品の通関検査は今後も段階的に強化が予定されており、10月末からは安全性・安全保障申告が必要となる。
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