ドイツ企業が中国拠点を日本へ移転する動きが加速している。在日ドイツ商工会議所(AHKジャパン)が3月下旬に発表した調査結果で明らかになった。地政学的な緊張や、中国政府の貿易政策の不確実性を背景に、安定性を求めて日本を選んでいるようだ。
調査はAHKジャパンが大手会計事務所KPMGと共同で実施した。在日ドイツ系企業472社を対象に1月30日から2月13日まで、オンラインでアンケートをとり、164社から回答を得た。
うち38%が、中国から日本への生産移転を計画していたり、アジアでの新規投資先として日本を選んだりしていた。23%は管理機能を中国から日本に移転していた。
日本にアジア太平洋地域の統括本部を置くドイツ企業は26%に上り、シンガポールの28%に次いで2位だった。前年の20%から増加していた。
日本を事業拠点に選ぶ利点には、9割以上の企業が経済的安定性や、ビジネス関係の安定性と信頼性、安全性と社会的安定性を挙げている。
AHKジャパンのシュールマン専務理事は「日本はアジアで最も古い工業国であり、日本市場は適度なコスト構造、誠実な人材、手厚い政府支援プログラム、そして高度に発達した研究開発環境を提供している」と説明。安定した環境は生産拠点として魅力的だと評価した。
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