ドイツ連邦参議院(上院)は22日、中小企業の税負担を軽減し競争力強化を図る「成長機会法案」の修正案を、賛成多数で可決した。減税規模は年32億ユーロと、当初案の70億ユーロから大幅に縮小した。新法は研究活動への税制優遇を拡大し、企業の研究開発(R&D)を促す。また、居住用建物の新たな減価償却規則も盛り込んでおり、調達コストの上昇や金利高止まりで苦境に立つ、建設業が恩恵を受けそうだ。
法案は中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)が抵抗していた。CDUとCSUは法案承認の条件として、連邦政府が決定した農業用ディーゼル燃料補助削減の撤回を求めていた。連邦参議院は州の代表で構成されており、CDUとCSUが率いる州が多くある。そのため、連邦政府が要求に応じない場合、法案成立は不可能とみられていた。
連邦政府は農業用ディーゼル燃料補助削減の撤回には応じなかったものの、所得税を複数年でならす平均課税の導入といった、新たな農家優遇策を提示して懐柔を図り、成立にこぎつけた。
成長機会法案は、昨年連邦議会(下院)が可決した。ただ、減税分の大部分を州や地方自治体が負担する必要があり、連邦参議院は否決。両院協議会にかけられ、修正案が作成された。減税額を大幅に縮小した修正案を、連邦議会は今年2月に可決していた。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。