英政府は14日、「過激主義」の定義を改定したと発表した。政府職員がこの定義に当てはまる組織や人物に関わることや、資金や活動基盤を提供することを禁止する。昨年10月7日にイスラエルでイスラム組織ハマスによるテロ攻撃が起きて以来、イスラム教徒やユダヤ教徒に対する差別が拡大していることを受けた措置。
新たな定義によると、過激主義とは◇他者の基本的権利や自由を否定または破壊すること◇英国のリベラルな議会制民主主義の体制と民主的権利を弱体化、転覆、もしくは置き換えること◇第三者がこうした目的の達成を容認する環境を意図的に作り出すこと――のいずれかを目的に、暴力や憎悪、不寛容に基づくイデオロギーを推進することを指す。
現行の定義は2021年に定められたもので、今回はこれをさらに厳密にした。この定義は行政上の規定の一部で、刑法には影響を及ぼさない。政府は今後、新たな定義に基づいて過激主義グループを特定し、発表する計画だ。
ゴーブ・レベリングアップ・住宅・コミュニティー相は、「10月7日のテロ攻撃以降、過激主義的なイデオロギーがまん延していることが明らかになり、国民の安全や民主主義にとって現実的なリスクとなっている」と述べた。
ただ、新たな定義を巡っては、社会の緊張をさらに高めるとの批判が出ている。また、与党・保守党内では、こうした定義は言論や信条の自由の侵害に当たるとして政府が提訴されることを懸念する声もある。さらに、直前には保守党の大口寄付者であるフランク・へスター氏が労働党の黒人女性議員に対して差別的な発言をしたことが発覚しており、同氏が過激主義者と見なされる可能性も指摘されている。
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