英国政府は2日、公共部門の効率化に総額8億ポンドを投資すると発表した。ハント財務相が6日の春季財政報告で公表する予算案に盛り込む。予算案ではこのほか、生命科学や自動車、航空分野の研究開発(R&D)および製造プロジェクトに官民共同で総額3億6,000万ポンドを投資する計画も打ち出すとしている。
公共部門への8億ポンドの投資では、ドローン導入などによる警察捜査の迅速化に2億3,000万ポンドを投じるほか、司法システムのデジタル化に1億7,000万ポンドを、人工知能(AI)を活用した公金詐欺の摘発に3,400万ポンドを、それぞれ投じる。さらに、100台超のMRIにAI技術を導入するアップグレードや、児童養護施設や特別教育施設の増設にも振り向ける。ハント氏は、公共部門の生産性が向上し、2029年までに18億ポンドの恩恵が得られるとしている。
一方、製造業への3億6,000万ポンドの投資には、ゼロ排出航空機の開発に向けた2億ポンドの投資や、医薬品・診断機器の生産拡大に向けた9,200万ポンドの投資が含まれる。このほか、電気自動車(EV)技術に7,300万ポンドを投資する。いずれも官民共同での投資となるが、政府がどの程度を拠出するかは明らかにされていない。
ハント氏はかねて減税への意欲をアピールしてきたものの、ここへきて、経済見通しの悪化を受け今回の予算案での大規模な減税は困難との見方を示している。ただ、フィナンシャル・タイムズによると国民保険の保険料率を追加で引き下げる可能性もあるもようだ。英政府は昨年11月の秋季予算で、同料率を12%から10%に引き下げていた。
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