英領北アイルランドで3日、親アイルランド派シン・フェイン党のミシェル・オニール副党首が自治政府首相に就任した。同党から首相が誕生するのは初めて。副首相には、政権を分かち合う親英派・民主統一党(DUP)のエマ・リトルペンゲリー氏が就いた。
北ア自治政府はDUPの政権離脱で機能不全に陥っていたが、同党が英本土との通商ルールについて1月末に英政府と合意したことを受け政権に復帰。約2年にわたる政治的空白に終止符が打たれていた。
オニール氏は3日、「新たな夜明け」を象徴する「歴史的な日」だと議会で演説。アイルランドの統一を支持しながらも、親英派も含め全ての人のための首相になると約束した。
シン・フェイン党は、南北アイルランド統一を目指しテロ活動を展開した、カトリック系過激派組織アイルランド共和軍(IRA)の政治組織として設立された。首相と副首相は同等の権限を持つが、同党からの首相誕生は親ア派にとって大きな節目となる。なお、閣僚ポストは1998年のベルファスト合意に基づき、親英派と親ア派の主要政党が分かち合っている。
北ア自治政府を巡っては2022年2月、欧州連合(EU)離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題にかかわる議定書」に抗議してDUPが政権を離脱。同年5月に行われた北ア議会選挙ではシン・フェイン党が史上初めて第1党となり、DUPは第2党に転落した。
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