英領北アイルランドの民主統一党(DUP)のドナルドソン党首は30日、英国の欧州連合(EU)離脱後の通商ルールの是正案を巡り、同国政府と合意したと明らかにした。正式に施行されれば、DUPは北アイルランド自治政府に復帰する方針を示している。BBC電子版などが伝えた。
親英強硬派のDUPは2022年2月、英国のEU離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題に関わる議定書」に反発して、北ア自治政府から離脱。自治政府は以後、機能停止状態に陥っている。
同議定書は、アイルランドと北アの間に厳格な国境を設けることを避けるため、北アは英国のEU離脱後もEUの単一市場にとどまることを規定していた。ただDUPは、この措置のために英本土と北アイルランドの間に境界ができるとして、強く反対している。
英国とEUは昨年、北ア向けの物品には「グリーンチャネル」を設け、英本土と北ア間での厳格な通関検査を免除する内容を含む「ウィンザー枠組み」で合意。しかし、DUPはこの枠組みも受け入れていない。
英政府は今回、北アと英本土間の貿易障壁を是正する案を提示した。ドナルドソン氏はこれについて、新たな案は「完璧ではないが、北アにとっては朗報」とした上で、英政府はこれを盛り込んだ法案を近く公表する見通しと述べている。
なお、北アイルランドでは1998年のベルファスト合意に基づき、政権を親英派と親ア派の主要政党が分かち合うことになっている。親アイルランドで、22年の北アイルランド議会選挙で第1党となったシン・フェイン党は今回、DUPの政権復帰で議会の機能が再開することを期待していると述べた。[EU規制]
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