欧州連合(EU)は14日の首脳会議(サミット)で、ウクライナと正式な加盟交渉を開始することで合意した。ロシアの侵攻を受けている同国のゼレンスキー大統領は、「国民の励みになる」と歓迎している。ただ、ウクライナへの500億ユーロの追加支援はハンガリーの反対のために承認されず、年明けに再度、協議が行われることになった。
ウクライナとの交渉開始には全会一致での承認が必要だったが、ハンガリーのオルバン首相はこれにも反対していた。EU政策専門サイトのユーラクティブによると、同首相は採決直前に離席。棄権扱いとなり、残りの26カ国の首脳による全会一致で交渉開始が決まった。
ゼレンスキー氏は「今後もさらなる手続きを踏んで、EUとの制度や基準の統合という大仕事をこなす必要がある」とした上で、「ウクライナはこれを成し遂げる」と強調。「EU加盟を祝福できる日が必ず来る」と意欲を示した。
2024~27年のEU予算から拠出されるウクライナへの500億ユーロの追加支援については、オルバン首相のみが反対し、承認されなかった。EUのミシェル大統領は「来年早々に再び協議し、全会一致での承認を目指す」と述べている。
ウクライナは財政を維持するために追加支援が必要で、ゼレンスキー大統領は米国にも610億ドルの支援を要請している。ただ、こちらも共和党の一部議員が反対したために承認されていない。
なお、今回のEUサミットでは、モルドバとも正式な加盟交渉を開始することが決まった。ウクライナやモルドバとほぼ同時に加盟を申請したジョージア(グルジア)は、加盟候補国として承認された。加盟候補国のボスニア・ヘルツェゴビナについては、来年3月に再度、加盟条件の順守状況を検討した上で、交渉開始の決断を下すとしている。[EU規制]
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