英政府は6日、不法入国者のルワンダへの強制移送計画を進めるため、同国について「安全な国である」などと規定する新たな法案を発表した。しかし、ジェンリック移民担当閣外相は法案の内容が不十分だとして同日に辞任を表明。12日の採決を前に、与党・保守党内に亀裂が生じている。
同計画を巡っては、最高裁判所が「ルワンダは安全な第三国と見なせない」などとして違憲と判断。スナク政権は5日には、ルワンダとの間で条約を締結し、移送後、生命に危険が生じる国に再移送される可能性がないことを保証するなどして、懸念の払拭に努めている。
しかし、法案の発表後、ジェンリック氏は辞任を表明。法案の内容は不十分だと批判し、この内容では、法廷闘争が延々と続き、計画そのものが凍結されかねないと指摘した。政策実施を可能にするさらに強力な措置が必要だと訴えた。
一方、スナク首相は「内容がこれ以上深入りすれば、計画を破綻させることになり、われわれは送り出す場所がなくなってしまうため、これが唯一の方法だ」と述べ、党が一枚岩となるよう理解を求めた。
■議会、法案の採決へ
下院は7日、スナク首相が提出した法案について12日に採決を行うと発表した。政権側はこの法案により、法的な問題は解消できるとしているが、専門家はさらなる法的な問題に直面する可能性を指摘。スナク政権が来春までに移送を開始するという方針についても実現可能性に懐疑的な見方が出ている。
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