ドイツ連邦憲法裁判所は15日、気候変動基金に600億ユーロを振り向ける内容の2021年度第2次補正予算案を無効とする判決を下した。新型コロナウイルス危機に対応する特別措置を気候変動対策に転用する政府の決定は違憲とする原告の訴えを支持した。
ドイツでは20年、新型コロナ危機を受けてドイツの憲法に当たる基本法で定められた借入金の上限を停止。問題となった21年度第2次補正予算案では、政府は同年度の借入枠2,400億ユーロの未使用分を用いて、気候変動基金向けに600億ユーロを確保した。これに対し、最大野党の中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)などは、借入金の上限廃止は新型コロナ危機に伴う経済支援が目的で、それ以外の目的では認められないと主張。憲法裁に判断を仰いでいた。
憲法裁は今回、予算は承認された年度に消化すべきで、通常の予算には組み込まれていない特別基金とは切り離す必要があると説明。政府はこのため、気候変動基金に積み増した600億ユーロを別の方法で確保しなければならなくなった。
ロイター通信によると、リントナー財務相は違憲判決に備え、財源確保の代替案を用意していると述べていた。具体的な内容は明らかになっていないが、増税は避ける方針という。
政府は8月、24年の気候変動基金からの支出を576億ユーロと、今年から60%増額することを閣議決定した。24~27年の支出は総額2,118億ユーロと、23~26年から300億ユーロ超拡大する。[環境ニュース]
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