英国の議会が7日開会し、チャールズ国王が政府の作成した施政方針演説の原稿を読み上げた。演説では経済成長や犯罪対策を重視する姿勢が示されたほか、北海油田の開発ライセンスの年次入札制度の導入、刑法の厳格化、たばこ販売を段階的に禁止する措置など、21法案の概要が紹介された。
昨年に即位したチャールズ国王にとって、今回が初の施政方針演説となる。国王は演説の中で、「経済成長の促進と次の世代の国民の健康と安全を確保すること」が最重要課題であり、政府はこれに向け「あらゆる面で未来の世代のために長期的な決断を下していく」と述べた。
今回の施政方針演説では、来年に予定される総選挙を見据え、最大野党・労働党との違いを強調した法案が打ち出された。
英領北海の新規油田開発では、ライセンスの公募を毎年実施する。政府はこれについて、エネルギーの安定供給と雇用の確保に向けた措置と説明。一方、労働党は来年の総選挙で勝利すれば、国内での油ガス田の新規探索は認めない方針だ。
経済成長に向けては他に、自動運転車の開発促進や実用化に向けた法整備を進める内容の法案が示された。
禁煙促進では、たばこの購入が可能な年齢を毎年1年ずつ引き上げる。法制化が実現すれば、2009年以降に生まれた子どもは成人に達してもたばこを買うことができなくなる。
さらに、犯罪対策として凶悪犯の懲役期間を延長するほか、住宅不足の深刻化に対処するため、借地権(リースホールド)付き物件の所有者が土地の所有権(フリーホールド)を買い取ることを容易にする法案も準備している。
今回の施政方針演説で発表された法案の数は前会期から先送りされたものも含めて21本と、2014年の施政方針演説以降で最も少なかった。また、地方自治体による排出削減に向けた車両通行規制を制限する措置など、事前に予想されていたものの演説には盛り込まれなかった法案も目立った。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。