英領北アイルランドのベルファストで12日、「北アイルランド投資サミット」が開幕した。世界から約200社が参加し、投資機会を模索する。北アは、英国の欧州連合(EU)離脱後もEUの単一市場にとどまる特異性を強みに、湾岸諸国の政府系ファンドや日米企業などからの投資誘致を目指す。
会期は13日までの2日間で、バデノック民間企業・貿易相や米国のケネディー北ア経済問題担当特使らが登壇。先端製造業やソフトウエア、金融サービスをはじめとする分野で、北アのイノベーションと技術の強みを訴求する。
英政府は、欧州で事業を行う上で北アのコスト競争力は魅力だと説明。2021年末の対内海外直接投資(FDI)残高は192億ポンドに達し、成長を求める企業にとって理想的だとしている。
英国のEU離脱協定に含まれる「北アイルランド国境問題に関わる議定書」を巡る英・EUの対立で不安定な立ち位置にあった北アだが、今年2月には問題解決に向けた「ウィンザー枠組み」が採択された。北アはEU単一市場にとどまる一方、英国本土から北アへの物品輸送では厳格な通関検査が免除されるため、投資企業にとっての大きな利点とされる。
一方、北ア議会が機能不全に陥っていることが投資促進の妨げになるとの指摘もある。親英強硬派・民主統一党(DUP)は昨年2月、議定書に抗議して北アの政権を離れ、ウィンザー枠組みも受け入れていない。
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