英国のスナク首相は24日、炭素中立の実現に向けたグリーン政策を緩和する可能性を示唆した。2030年にガソリン・ディーゼル式の新車販売を禁止する目標などは維持するものの、物価高にあえぐ国民に負担をかけないよう「妥当で現実的な方法」を取るとしている。BBC電子版が伝えた
同首相は「ネットゼロに向けて前進するが、国民生活に今以上の手間やコストをかけずに済むよう妥当で現実的な方法を取る」とコメント。高インフレが家計を圧迫する中、打撃を増やすより緩和することを目指すとしている。
首相報道官は、30年にガソリン・ディーゼル式新車の販売を禁止する目標は「引き続き目指す」とした上で、「その手法は精査し、正しいやり方を選ぶ」としている。35年に住宅用ガスボイラーの新規設置を禁止する目標も維持するとしつつ、「それまでの技術の進歩を考慮するべき」と述べている。
スナク首相は、こうした政策に柔軟な姿勢を示すことにより、最大野党・労働党の積極的なグリーン政策への不満層を取り込む狙いとみられる。20日にロンドン西部の選挙区で行われた下院補欠選挙では、最大野党・労働党のカーン・ロンドン市長が大気汚染対策として進める「超低排出区域(ULEZ)」拡大が争点となり、与党・保守党が予想外の勝利を収めた経緯がある。
来年の総選挙で勝利が予想されている労働党は、北海ガス田の新規探査を禁止する案や、年280億ポンドを借り入れてグリーン政策に投じる方針を打ち出している。ただ、同党のスターマー党首もここへきて、グリーン政策への投資規模を縮小する可能性を示唆している。[環境ニュース]
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