北大西洋条約機構(NATO)は11~12日、リトアニアの首都ビリニュスで首脳会議(サミット)を開く。ロシアによる侵攻が続くウクライナの長期的な安全保障に向けた措置や、トルコの反対で滞っているスウェーデンのNATO加盟を巡り、妥協点が見いだせるかどうかが焦点となる。岸田首相など環太平洋の一部諸国の首脳も出席し、対中国防衛にNATOが果たす役割についても協議が行われる。
サミットには、NATOへの加盟を申請しているウクライナのゼレンスキー大統領も出席する。中東欧諸国は同国の加盟を支持しているが、米国やドイツはNATOがロシアとの直接的な紛争に引き込まれることを懸念し、慎重な姿勢を崩していない。サミットでは、ウクライナの加盟が直ちに実現しないことを踏まえ、同国の長期的な安全保障の仕組みづくりについて協議が行われる見通し。
今回のサミットには、4月に加盟したフィンランドの首脳も初めて加盟国として出席する。フィンランドは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて加盟を申請した。
ただ、同国と同時に申請したスウェーデンの加盟は、トルコの反対により実現していない。こうした中、トルコのエルドアン大統領は10日、「トルコの欧州連合(EU)加盟への道が開かれれば、スウェーデンのNATO加盟への道を開く」との考えを示した。NATOのストルテンベルグ事務総長は、同大統領とスウェーデンのクリステション首相の会談を呼びかけている。
このほか、今回のサミットには岸田首相や韓国、オーストラリア、ニュージーランドの首脳も出席する。米国はかねて、NATOが対中国防衛に果たす役割を強化するよう主張している。
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