英国企業によるドイツへの直接投資案件は昨年に170件となり、前年から21%増えた。英国の欧州連合(EU)離脱で税関検査をはじめ対EU貿易の手続きが煩雑となり、これを回避するためEU域内に拠点を設ける動きが強まっていることが背景にある。
ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)のデータによると、昨年のドイツの対内海外直接投資(FDI)案件は1,783件と、前年からほぼ横ばいだった。国別に見ると、首位は米国企業で、10%増の279件。2位はスイスで、英国は3位に食い込んでいる。なお、EU離脱を巡る国民投票が行われる前の2015年には、英国からは投資の問い合わせが50件あっただけだったという。
昨年は英国企業の対独投資では、小売大手フレイザーズ・グループ(旧スポーツダイレクト)が3億ユーロを投じて、ドイツ西部ビットブルクに欧州物流センターを開設した。販促やブランディングサービスを手がけるTHEMPCは、EU域内の顧客に関税なしで印刷物や特注パッケージを提供するため、ミュンヘンに拠点を新設している。プラスチック廃棄物のリサイクル会社ミュラ・テクノロジーは、米化学ダウ・ケミカルが東部ザクセン州ライプチヒ近郊のベーレンに保有する拠点にリサイクル工場を建設した。
EU離脱を巡っては、貿易手続き以外でも影響が出ているとの指摘がある。具体的には、英国企業が欧州委員会の関与するプロジェクトに入札するにはEU域内の企業と協力する必要が生じているほか、EU離脱時の英国側の混乱に顧客が嫌気をさして英国企業との取引に不安感を抱くこともあるという。
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