ドイツ連邦議会(下院)は23日、「高技能移民法」の改正案を388対234の賛成多数で可決した。非欧州連合(EU)加盟国からの熟練労働者の受け入れ要件を緩和することにより、経済成長の足かせとなっている未曽有の人材難の解消を狙う。
同法案は政府が3月に公表したもの。採決では、連立政権を組む中道左派の社会民主党(SPD)と環境政党・緑の党、リベラル派の自由民主党(FDP)の3党がこれを支持した一方、最大野党の中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)および姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)、右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は反対票を投じた。
フェーザー内相は採決に先立ち、「この法案は世界で最も先進的な移民法になる」と強調。熟練労働者の不足はドイツ経済の成長を妨げる最大の要因と指摘し、同法案が成立すれば「ドイツの繁栄が確保され、未来に向けた大きな一歩となる」との考えを示した。
同法案は、語学力や職務経験、年齢などに基づくポイントが一定水準に達した外国人労働者に対し、仕事が決まっていなくても滞在を認める「チャンスカード(Chancenkarte)」を交付する内容。IT(情報技術)分野の専門家については、給与やドイツ語の語学力の要件を緩和している。
ドイツでは2022年の求人件数が198万件と、過去最高水準に達し、特にIT分野の人材不足が深刻化している。ドイツ商工会議所連合会(DIHK)によると、国内企業の53%が人手不足で欠員を補充できずにいる。[労務]
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