英国の下院・特権委員会は15日、新型コロナウイルス規制下に首相官邸で開かれた一連のパーティーを巡り、ジョンソン元首相が意図的に議会を欺く答弁をしたとする調査報告書を公表した。こうした行為は議会への侮辱に当たるとの厳しい結論を下している。
同委は下院の要請により昨年4月に調査を開始。今回、100ページ超に及ぶ最終報告書をまとめた。同委はこの中で、ジョンソン氏は議会で「意図的に下院を欺こうとする極めて不誠実な答弁をしたほか、真実から目をそらす答弁を繰り返した」とし、これは「下院に対する重大な侮辱」に当たると結論付けた。
同委はまた、ジョンソン氏が9日にこの報告書の草案を受け取った際、調査は自身に対する「魔女狩り」などと公に批判したことも問題視。守秘義務に違反するほか、特権委員会を攻撃し、民主主義的手続きや下院を傷つける行為との判断を示した。
同委は、本来なら90日間の議員停職処分が妥当とした上で、ジョンソン氏がすでに報告書の草案に抗議して議員を辞職していることを踏まえ、通常なら元議員に与えられる国会議事堂への立ち入り許可証を同氏に交付しないよう提言した。
ジョンソン氏は2019年に首相に就任し、英国の欧州連合(EU)離脱を実現した。しかし、21年末にコロナ規制に反するパーティーに出席していたとの疑惑が報じられ、22年9月に首相を辞任した。
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