国際通貨基金(IMF)は23日、今年の英国経済が0.4%拡大し、景気後退を回避するとの見通しを示した。強靭(きょうじん)な需要とエネルギー価格の低下を理由に、0.3%縮小するとしていた4月時点の予想から引き上げた。
IMFは、通常より速いペースでの賃金上昇や政府支出の増加などに支えられた需要回復に加え、エネルギー価格の低下と世界のサプライチェーン(供給網)の正常化が見通しの引き上げにつながったと説明。ただし、成長見通しは依然として低調で、経済活動は昨年から著しく鈍化しているという。
また、今後のリスクは無視できず、物価と賃金の上昇が予想より長く続き、インフレの高止まりが継続することが短中期的なリスクになると指摘。さらなる金融引き締めが必要とみられ、インフレを確実に減速させるため金利をより長く高水準にとどめなければならない可能性があるという。英国の潜在的な成長力の改善には、長期的な疾患による非就業者の増加への対処や、投資を阻害する政策の不確実性の低減などが必要だとしている。
今後の見通しについては、国内総生産(GDP)成長率が2024年に1%、25年と26年にはそれぞれ2%前後になると予想。その後は1.5%程度に落ち着くとみる。インフレ率は今年末までに5%に減速するものの、英中銀イングランド銀行が目標とする2%まで低下するのは25年半ばになると見込んでいる。
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