欧州連合(EU)加盟9カ国は4日、欧州安全保障・防衛政策(ESDP)の決定プロセスの見直しを提案した。現在の全会一致から特定多数決方式に切り替えるよう呼びかけている。
見直しを提案したのは、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、フィンランド、スロベニアの9カ国。域内の人口で上位4カ国が含まれる。
EUの特定多数決方式では、加盟27カ国のうち15カ国の支持が得られれば政策を可決することができる。ただ、支持国の人口の合計がEU総人口4億5,000万人の65%を超えることが条件となる。特定多数決方式では人口の少ない国が不利にならないよう各国に割り当てられる票数は調整されているが、全会一致原則で各国が持つ事実上の拒否権は効力を失う。
今回の提案は、ロシアのウクライナ侵攻といった問題に迅速かつ効率的に対応することを目指したものだが、東欧諸国の一部は政策決定に自国の意見が反映されなくなる恐れがあるとして懸念を表明。また、オーストリアのネハンマー首相は、全会一致には多大な労力が必要だが、一方で民主主義と多様性の尊重という利点があり、これが加盟国の結束につながると述べている。
EUでは現在、幅広い分野の意思決定で特定多数決方式が採用されているが、税制や外交、条約改正など重要性の高い政策については全会一致が原則となっている。[EU規制]
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