英政府は19日、米オクラホマ州と貿易および経済関係の構築に向けた覚書に調印したと発表した。米政府との自由貿易協定(FTA)交渉が進展しない中で州レベルの交渉に着手しており、州政府と交わした貿易協定は今回で4件目となる。
協定には、貿易や投資の障壁をなくすことで事業機会の拡大や雇用創出などを促す狙いがある。中でも、二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCUS)をはじめとする環境分野での協力を強化していく方針を示している。
英政府によれば、英国からオクラホマ州への2022年の輸出高は1億7,440万ポンドに上る。主要な輸出品目は原子力装置、貴石・貴金属、医療や航法向けの映像機器など。一方、オクラホマ州では英国への輸出関連で約3,000人が働くほか、1万人近くが英国企業に雇用されている。
英国は欧州連合(EU)から離脱する際、英米間のFTA締結が可能になることを利点の一つに挙げていた。ただ、バイデン政権は北アイルランド問題を巡る英国とEUの協議が続いていることを理由に、英国とのFTA交渉を事実上中断している。ロイター通信によれば、オクラホマ州との覚書調印に向けて訪米中のハドルストン・ビジネス・貿易省閣外相が米通商代表部(USTR)のホワイト副代表と会談し、FTA交渉の再開を促すという。
英政府はこれまでにインディアナ州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州とも覚書を締結。ユタ州、テキサス州、カリフォルニア州とも交渉を進めている。
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