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独、最後の原子炉3基が停止=脱原発完了

ドイツ最後の原子炉3基が15日、稼働を停止した。福島第1原発事故を受け2011年に開始された脱原発政策がこれで完了した。ただ、ロシアからのガス供給減を背景に電力の安定確保への懸念や、低炭素の原発の停止は排出量拡大につながると指摘する声もある。BBC電子版が伝えた。

運転が停止されたのは、南部バイエルン州の「イザール2」、南部バーデンビュルテンベルク州の「ネッカーベストハイム2」、北西部ニーダーザクセン州の「エムスラント」の3基。当初の計画では昨年末までに閉鎖される予定だったが、ロシアからのガス供給が落ち込んだことを受け、昨年11月に運転を延長することが認められていた。

これら原子炉3基はこの日に運転延長期限を迎え、日付が変わる前に相次いで運転を停止した。首都ベルリンでは、反原発派がこれを歓迎する集会を開く一方、原発運転延長の支持派はデモを行った。

最大野党の中道右派・キリスト教民主同盟(CDU)と姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)は、原発を止めれば電力価格が上昇するとともに、火力発電への依存度が高まり排出量が増えると批判。CSUの党首を務めるゼーダー・バイエルン州首相は先に、残された3基のさらなる運転延長を政府に求めていた。

これに対し政府は、原子炉3基の運転継続には多大な投資が必要とし、運転を延長するよりも再生可能エネルギーへの投資を増やすべきとしていた。

ドイツでは、冷戦時代の核戦争への不安感やチェルノブイリ原発事故を背景に、伝統的に反原発意識が強い。11年に福島第1原発で事故が起きると、当時のメルケル政権は国内全17カ所の原発を22年末までに閉鎖することを決め、原発を運営する電力会社への補償も進めた。

ドイツの昨年の発電量の44%は再生可能エネルギーが占め、原子力の比率は6%だった。残りの大半は、石炭・ガス火力発電が占める。政府は30年までに再生可能エネルギーの比率を80%に引き上げることを目指している。[環境ニュース]


関連国・地域: ドイツ
関連業種: 天然資源電力・ガス・水道マクロ・統計・その他経済

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