ドイツ政府は29日、「高技能移民法」の改正案を公表した。移民制度改革の一環で、不足する熟練労働者の確保が狙い。特にIT(情報技術)分野では、ドイツ語の語学力や給与などの資格要件の緩和を提案している。
ショルツ首相は、ドイツにとって技能を持つ労働者の確保は重要とした上で、「そのためには、欧州連合(EU)や世界の他の諸国と比べて最も先進的な移民法が必要」との考えを示した。
この改革案では、特に人材が不足しているIT分野で、EUの高資格外国人の滞在許可証「EUブルーカード」を保有する専門家を対象に、給与や職務経験の要件を緩和し、語学力の証明を不要にするとしている。
また、2年以上の専門職の経験や、出身国の大卒または職業資格を持つ外国人は、一定の給与水準を満たせば、ドイツ国内で資格を取らなくても就業できるようになる。
加えて、潜在的能力があると見なされる外国人は、仕事を確保していなくても、ドイツ語または英語力の語学力や職務経験、ドイツとのつながり、年齢、配偶者の潜在的能力などに基づくポイント制の「チャンスカード(Chancenkarte)」が与えられる。
ドイツでは2022年の求人件数が198万件となり、過去最高水準に達している。ドイツのIT産業の業界団体である情報通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)によると、IT分野では13万7,000人が不足しているが、米国などから人材を誘致する上でドイツ語の要件が障害となっている。[労務]
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