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英政府、春季財政報告を公表 景気後退は回避=経済成長を柱

英国のハント財務相は15日、下院で春季財政報告を行い、英経済は景気後退入りを回避できるとの見通しを示した。新年度予算では経済成長を柱に据え、託児支援の拡大などによる労働力不足の解消や企業投資の促進策を打ち出した。大型減税には踏み込まなかったものの、電気・ガス料金の上限設定措置の延長などにより、企業・家計支援を継続するとしている。

春季財政報告を発表したハント財務相(財務省提供)

春季財政報告を発表したハント財務相(財務省提供)

同相は、スナク首相が国民に約束したインフレ抑制と経済成長、公的債務の削減はいずれも実現されつつあり、「政府の計画は効果を発揮している」と強調。「育児支援革命と、史上最大の雇用促進策、欧州最大の投資促進策により、英国は持続的な成長軌道に乗る」とアピールした。

これに対し、最大野党・労働党のスターマー党首は、ハント氏は「停滞を安定と装っている」と批判。英国は「管理された衰退路線をたどり、ライバル諸国の後塵を拝して、再び欧州の病人と化している」とし、「この国は低成長、高税率、公共サービス破綻の悪循環に陥っている」と訴えた。

予算の骨子は以下の通り。

■家計支援

標準的な世帯の支払うガス・電気料金を年間最大2,500ポンドに抑える措置は、3月末で終了する予定だったが、これを6月末まで延長する。ガソリン・ディーゼルにかかる燃料税は昨年4月から1リットル当たり5ペンス引き下げられているが、これをもう1年継続する。

■労働力の確保

週30時間の託児費用を無料とする措置の対象を現在の3~4歳児から1~4歳児に拡大する。保育士に600ポンドの就職奨励金を支払うとともに、保育士1人当たりの乳幼児数の規制を緩和する。障害者向けの就職支援制度を新設するほか、6,300万ポンドを投じて50歳以上の早期退職者の復職を支援する。建設業の一部職種では移民規制を緩和する。

■投資の促進

ロンドン以外の全国12カ所に投資ゾーンを新設し、税控除などの優遇措置を適用する。法人税の標準税率は、予定通り19%から25%に引き上げる一方、向こう3年は設備投資を全額、税控除の対象とする。二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクトに向こう20年で200億ポンドを投資するほか、原子力事業はグリーン投資の対象として認める。

■アルコール・たばこ税

アルコール税は8月からインフレ率に連動して引き上げられるが、パブで提供されるビールやワインには低税率が適用される。たばこ税はインフレ率プラス2ポイント、手巻きたばこはインフレ率プラス6ポイントの割合で引き上げられる。

■経済見通し

予算責任局(OBR)はこの日、今年の国内総生産(GDP)の成長率見通しを昨年11月の秋季予算案発表時に示したマイナス1.4%からマイナス0.2%に引き上げた。2024年は1.8%の伸びを見込んでいる。インフレ率は昨年10月の11.1%がピークだったとみており、今年末までには2.9%に落ち着くと予想する。

財政収支については、財政赤字額を示す公共部門純借入額(PSNB)が22/23年度は1,524億ポンドとなり、昨年11月時点の予測を247億ポンド下回ると予想。対GDP比では22/23年度の6.1%から、23/24年度は5.1%に減り、24/25年度には光熱費支援の終了やインフレの収束を背景に3.2%まで下がるとみている。公的債務残高の対GDP比は、22/23年度は92.4%、23/24年度は93.7%への上昇を見込む。


関連国・地域: 英国
関連業種: マクロ・統計・その他経済

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