ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、ブリュッセルの欧州連合(EU)本部を訪問し、EU首脳会談(サミット)に出席した。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、武器供与や財政支援の拡大を求めた。前日には、英国に続きフランス・パリを訪問し、同国のマクロン大統領およびドイツのショルツ首相と会談。戦闘機の供与に向け各国の説得に取り組んでいる。
ゼレンスキー氏がEU本部やフランスを訪れるのは、ロシアによる侵攻開始以降で初めて。同氏は欧州議会で演説し、「ロシアはウクライナの主権だけでなく、欧州的な生活のあり方を踏みにじろうとしている」と強調。またロイター通信によると、サミットでは「自由なウクライナなしに、自由な欧州は考えられない」と訴えた。
ゼレンスキー氏は英国に続きフランスでも、戦闘機や長距離ミサイルの供与を求め、「これらが早く届けば届くほど、早期にロシアの侵攻を食い止め、欧州の平和を回復できる」と強調。また、EUサミットでも戦闘機の供与を要請し、記者会見では「一部の加盟国は戦闘機を供与する準備があると発言した」と語った。
ただ、今のところ各国ともこれに直ちに応じる姿勢は示していない。英国は戦闘機の供与を「長期的に」検討するとしているものの、欧州諸国や米国を含む他の北大西洋条約機構(NATO)加盟国はかねて、ロシアを挑発することを懸念し、戦闘機供与に慎重な姿勢を示している。
財政面では、EUのミシェル大統領とフォンデアライエン委員長は、引き続きウクライナを支援するとしている。同委員長によると、EUがロシアの侵攻後にウクライナに行った支援は総額670億ユーロに達している。
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社NNAは一切の責任を負いません。