ドイツのルフトハンザ航空は18日、経営破綻したアリタリア航空を母体とする国営の新航空会社ITAエアウェイズの少数株取得に向け、イタリア政府に買収案を提示したと発表した。まず少数株を取得し、その後に残り株を買い取るオプションも含まれる。
少数株の比率や提示額は明らかにしていないが、ロイター通信は消息筋の話として、まず40%株を取得する方針で、その評価額は2~3億ユーロと伝えている。
ルフトハンザは「イタリアは当グループにとって、ドイツと米国に次ぐ重要市場」と説明。同国は出張客と観光客の両方にとって重要性があるとしている。
イタリアの経済財務省は、ITAエアウェイズの買収案はルフトハンザからしか受け取っておらず、今後、同社からの提案を審査するとしている。
同省はITAエアウェイズを巡り、昨年8月末に米国の投資会社サータレスとデルタ航空、フランス・オランダ資本の航空大手エールフランスKLMのコンソーシアムと独占交渉を開始したが、期限である10月末までに妥結せず、その後も買い手探しを続けている。
同社の前身であるアリタリアは2008年から赤字が続き、17年には破綻を申請。政府からつなぎ融資を受けながら事業再生の道を探ったが、コロナ禍の影響もあり、21年10月に74年の歴史に幕を閉じた。
なお、ルフトハンザ航空のITAエアウェイズ買収提案を受け、コロナ禍で業績が悪化した他の欧州各国のフラッグキャリアの買収に弾みが付き、航空業界の統合再編が加速する可能性がある。ポルトガル政府はかねてポルトガル航空(TAP)の持ち株50%超の売却を検討しているほか、米国で再生手続きを申請したスウェーデンのスカンジナビア航空(SAS)も買収標的となる可能性がある。
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