欧州連合(EU)のミシェル大統領は1日、北京で中国の習近平国家主席と会談し、ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス危機への対応、EU・中国関係について協議した。
ミシェル大統領は会談後の声明で「習主席に対し、ロシアへの影響力を利用して国連憲章の順守を働きかけるよう求めた」としている。核の脅威については「容認できず、極めて危険で、国際社会を危険に陥れる」との認識で一致したという。
中国外務省は声明で、両首脳がウクライナ危機について意見を交換したとした上で、「政治的手段による危機の解決が欧州にとって最善であり、ユーラシア大陸各国の共通の利益につながる」と指摘。「危機の激化と拡大を避ける必要がある」としている。
ミシェル大統領は、新型コロナウイルスの現状についても協議したと明らかにし、「欧州では重症患者や死者を減らす上で、ワクチンが特に有効であることが証明されたと伝えた」としている。中国では新たに感染が拡大する中、政府のゼロコロナ政策に対する抗議運動が広がっている。ミシェル氏は記者会見で、「この問題も協議した」と述べたが、詳細には触れなかった。
EUと中国の関係について、ミシェル氏は「EUは市場を開放しているが、中国の一部分野は閉ざされている」とし、互恵性の拡大を要求。また、過剰依存のないバランスの取れた関係と、EU企業にとって平等な競争条件(レベル・プレイング・フィールド)が必要と指摘した。
一方、中国外務省は「EUは包括的投資協定(CAI)の手続きを進める意欲を示した」と説明。EUは中国の新疆ウイグル自治区での人権侵害問題を理由に、昨年5月から同協定の批准に向けた審議を凍結している。
フィナンシャル・タイムズによると、米国の影響力を弱めるため、習主席はEUとの関係改善を目指している。
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