英国のスナク首相は28日、就任後初の外交方針演説で、対中国関係の「黄金時代」は終わったと宣言した。「通商関係が(中国の)社会・政治改革につながるという甘い考えはもはや通用しない」とし、中国との経済関係を強化してきたキャメロン政権以降の方針から転換する姿勢を示した。
スナク氏は、「中国はわれわれの価値観や利益に挑戦を突き付けている」と指摘。同国が権威主義的姿勢を強めるのに伴い、こうした挑戦はさらに深刻化しているとし、新疆ウイグル自治区での人権侵害や、香港市民の弾圧に加え、中国のゼロコロナ政策に対する現地の抗議デモで英国人記者が当局から暴行を受けた問題などに警鐘を鳴らした。
一方で、「世界経済の安定や気候変動といった世界的問題において、中国の重要性は無視できない」とし、「外交と関与」を通じて中国との競争に対処する方針を示した。
フィナンシャル・タイムズによると、スナク氏はジョンソン政権で財務相を務めていた際、中国に敵対的な姿勢を取ることに反対していただけに、与党・保守党内の対中国強硬派の間では、中国への姿勢が軟化するとの懸念が強まっていた。
なお、外交方針演説ではほかに、ロシアの侵攻を受けているウクライナへの支援を必要な限り続ける方針や、インド・太平洋地域との関係を強化する方針も打ち出された。
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