英政府は28日、一般住宅の断熱工事費用の補助に10億ポンドを拠出すると発表した。2030年までに建物および産業のエネルギー消費量を15%削減する計画の一環で、エネルギー価格高騰を受け導入したガス・電力料金の補助を低く抑える狙いもある。併せて、1,800万ポンドを投じて国民向けの省エネ・キャンペーンを展開する計画も明らかにした。
政府は13年から低所得世帯向けに住宅断熱工事費用の補助制度「エコ・スキーム」を実施しているが、新制度「エコプラス・スキーム」では対象を拡大する。これにより、新たに数十万世帯が断熱工事を行い、暖房費用を1世帯当たり年間310ポンド節約できる見通し。新制度は23年春から3年間、実施する。
支給総額10億ポンドのうち80%は、カウンシルタックス(住民税)の課税額が低い地区にあり、エネルギー効率証書(EPC)格付けがD以下と暖房効率が特に悪い住宅を対象に支給する。残りは、生活保護を受けている世帯や、光熱費の支払いに苦慮している世帯に割り当てる。
省エネ・キャンペーンでは、ボイラーの温度設定の引き下げや、誰もいない部屋のラジエーターのスイッチを切ることを推奨する。これにより、光熱費を年間160ポンド節約できるとみている。また、窓やドアの隙間を防ぐ方法も紹介する。
政府は標準的な世帯で光熱費の上限を年間2,500ポンドに定め、実際の料金との差額を負担している。23年4月からは上限を3,000ポンドに引き上げた上で、12カ月継続する予定。トラス前首相は、個人の自由を優先する考えから省エネ・キャンペーンの実施を拒否していたが、政府の支出削減に取り組むスナク首相は、この方針を覆す格好となる。[環境ニュース]
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