中銀のドイツ連邦銀行は23日発表した月報で、同国のインフレ率が来年も2桁台で推移するとの見通しを示した。政府はエネルギー価格の抑制に努めているものの、その効果は直ちには現れない上、一時的なものとみている。
10月のインフレ率は11.6%と、1950年代前半以降で最高の水準に達した。ロシアのウクライナ侵攻を受けた天然ガス価格の高騰に伴い、電力・ガス料金が跳ね上がっていることが大きく、政府は企業や家計への打撃緩和に向けさまざまな措置を講じている。
連銀は、その第1弾として政府が12月のガス代金を肩代わりするための一時金を支給する計画について、消費者には安心感を与えるがインフレ率には反映されないと予想。第2弾として、来年以降のガス使用量の8割を対象に料金に上限を設定し、実際の価格との差額を政府が負担する計画については、インフレ率を1ポイント引き下げるものの、この措置の終了とともにインフレ率は再上昇すると予想する。
化学・金属業界の労組が一時金支給と引き換えにインフレ率を下回る賃上げを受け入れたことについては、「マクロ経済的視点から言えば、この措置の終了とともに賃金上昇を再び抑制することが容易なため、二次的なインフレを緩和し、インフレ率の高止まり防止に役立つ」と評価している。
国内総生産(GDP)については、第3四半期(7~9月)は予想に反し0.3%のプラス成長となったものの、第4四半期と2023年第1四半期には縮小し、リセッション(景気後退)に陥るとみている。
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