経済協力開発機構(OECD)は22日に公表した報告書の中で、世界経済の成長率は今年の3.1%から来年は2.2%に減速し、2024年には2.7%になるとの見通しを明らかにした。エネルギー危機で欧州が大きな打撃を受ける中で、英国は主要7カ国(G7)で景気後退が最悪になるとの見方を示している。
英国のGDPは来年に0.4%減少し、24年には0.2%の増加にとどまるという。これは主要20カ国(G20)の中でもロシアを除いて最も大きな縮小となる。G7の中ではドイツが来年に0.3%縮小するが、日本は1.8%、カナダは1%と拡大するほか、フランス(0.6%増)、米国(0.5%増)、イタリア(0.2%増)もプラスになると予想している。
英国経済については、インフレ率が来年初頭まで9%を超えるものの来年末には4.5%、24年末には2.7%まで低下すると予想。購買力の低下と金融引き締めが個人消費に打撃を与え、長期金利の上昇が住宅市場を減速させるとみている。不確実性が長引き資本コストが上昇するため企業の投資は低調に推移する上、深刻な労働力不足により企業活動の低下に加えて賃金上昇によるインフレ加速の可能性も指摘した。需要減退により失業率が徐々に上昇し、24年末には5%に達するとの見通しを示している。
OECDは、エネルギー危機が今後も続き、欧州は来年冬にガスの不足でさらに大きなリスクに直面する可能性に言及。各国が導入しているエネルギー価格を人為的に抑える措置を段階的に廃止し、脆弱な世帯や企業に的を絞った支援が必要としている。また、エネルギー節約のインセンティブの重要性も指摘している。英国についても、エネルギー料金の補助は当面のインフレ率を抑えるものの、経済全体の需要を高めて中期的にはインフレ圧力を高めるため、政策金利が引き上げられて債務返済コストの増加につながると警告している。
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