英国の与党・保守党の党首選で勝利したスナク元財務相は25日、チャールズ国王の任命を受け、新首相に就任した。トラス政権で混迷した英国経済の立て直しが喫緊の課題で、金融界出身で経済通の手腕が試される。地に落ちた保守党への信頼回復を図るという難題も抱え、新政権は発足時から厳しい船出となる。
スナク氏は25日午前、ロンドンのバッキンガム宮殿でチャールズ国王に謁見し、新たな首相に任命された。同氏はインド系移民の42歳で、英史上で最も若く、初のインド系首相となった。
スナク氏は就任後初の演説で、英国が深刻な経済危機に直面しているとし、「言葉ではなく行動でこの国を団結させる」と強調。市場を混乱させた前政権の経済対策について「いくつかの過ちがあった」と認め、修正する考えを示した。
また、「経済の安定と信用を政府の中心課題に据える」と表明し、「政治より国民の要望を優先し、わが党の伝統を受け継ぐ政権を樹立する」と力を込めた。
英メディアによると、新内閣は、トラス政権で財務相だったハント氏、外相のクレバリー氏、国防相のウォレス氏が残留、ジョンソン政権で副首相だったラーブ氏が副首相兼法務長官として入閣が決まった。
スナク政権が直面するのは、まずは経済の立て直しだ。英国では高インフレに見舞われ景気後退が差し迫る中、市民生活は厳しさを増している。スナク氏は投資銀行などで培った経験や財務相としての手腕を買われ選出されただけに、経済対策への対応が注目される。
また、低迷する保守党の立て直しも課題となる。トラス政権の失策などにより、支持率は最大野党・労働党に3割以上リードされている。スナク氏はジョンソン政権でいち早く辞任し、首相退陣につながる閣僚辞任の引き金をつくったとして、党内にはジョンソン派の議員からの反発もある。今後は政権運営とともに、2年余り先の総選挙に向け党内融和にも全力を注いでいく。
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